世界の路地裏 23 ブラジル・ベレン
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20代最後の年に、念願だった南米一周の旅に出た。だがそれは思いの外つらい旅となった。長期間日本語を話せず、活字を読めないことが、これほどの苦痛になるとは。旅には困らない程度のスペイン語は理解できたが、それは何の慰めにもならなかった。
そんな鬱々とした長旅を続けていた時、ブラジルに入って急に空気が変わったのを感じた。この国と人の持つ独特の開放感が、徐々に心に溜まった重りを溶かしてくれた。サンパウロの日本人街で、日本の古書を見つけた時の喜びときたら。

ブラジルで元気を取り戻した私は、東海岸をバスで北上し、大アマゾン河口の街、ベレンまでやって来た。ここは人口150万人の大都市で、アマゾン川の集散地だ。対岸は遥か彼方で、濁った泥流がムクムクと流れる様子は、怖いほどだった。しかもここから見える景色は大アマゾンの一部に過ぎない。
市場に並ぶ大ナマズの壮観。これが案外さっぱりとした白身で美味しい。そして川は子供たちのホームグラウンド。ワニなんて怖いものか!(公明新聞2月18日付掲載)

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# by saito-r | 2018-02-20 17:13
世界の路地裏 22 スペイン・アンダルシア州
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20代の半ばに、憧れのスペイン一周の旅を決行した。まずは80キロ以上出すとエンストしてしまう、超安値の中古車を入手。車中に寝泊まりして旅費を節約し、スペイン中の美しい街を、全部見てやろうという無謀。若気の至りだ。

スペインの街はもともと、城塞都市として発達したところも多く、地形をうまく利用した街並みは、どこも個性的で、新しい街に着く度、ため息が出た。
スペインの南に位置するアンダルシア州は、北アフリカも目と鼻の先。かつてイスラムに侵略された歴史もあり、その時代の建築物も数多く残っている。独特の文化の香りが、撮影意欲を掻き立てる。有名なフラメンコも元々この土地のものだ。分離独立運動が起きた、バルセロナのあるカタルーニャ州とは別の国と言ってもいいほどだ。ヨーロッパ文化の多様性を実感する。

ここアルコス・デ・ラ・フロンテーラモ、アンダルシアの宝石とも言える街のひとつ。丘の上の旧市街を歩くと、ご覧のような細い路地が次々と現れ、さてどちらに進もうか、と悩むのも旅の楽しみだ。(公明新聞1月21日付掲載)

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# by saito-r | 2018-01-27 18:17
世界の路地裏 21 ハワイ・カウアイ島
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ハワイと言っても8つの大きな島と多くの小島からなり、様々な表情がある。ショッピングセンターの林立するホノルルは、ハワイの一面に過ぎない。ここカウアイ島はホノルルのあるオアフ島から一つ西の島。ワイキキビーチの喧騒がウソのように静かだ。先住民の主食だったタロイモの水田が広がり、森には精霊が住んでいそうな神秘が漂っている。ハワイの原風景とは、こんな感じではなかったのか。

島の北、ハナレイという町のショッピングセンターに立ち寄ったら、ちょうど子供たちのフラダンスショーが開かれていた。初めは冷やかし半分で眺めていたが、次第にその踊りの持つ神聖さに、魅了されてしまった。
不明を恥じる。そもそもフラは観光用のダンスなどではなく、ハワイアンの魂と呼んでもいい踊りなのだ。

南の島なのに湿気は少なく、昼間は暑くなっても、夕方には涼しい風が吹く。こんな「世界一」の気候で、フラを眺めながら、遠いハワイ王国の幻影に思いを馳せた。(公明新聞1月7日付掲載)



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# by saito-r | 2018-01-11 08:58
2018年もよろしくお願いいたします。
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新年あけましておめでとうございます。
このサイトも気がつけば11年目に突入しました。何事も続けることが大事と、あまりがんばらずノラリクラリと更新しています。昔話が多くなってきたのも、年相応とご笑覧ください。そういえば最近、古い友人や仲間から、「定年を迎えます」の話題がチラホラと舞い込むようになりました。そういうことなんですね。
今年もどうぞのんびりとおつき合いください。
本年もみなさまのご健康とご多幸をお祈りしています。

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# by saito-r | 2018-01-05 10:03
世界の路地裏 20 ドイツ・エアフルト
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1989年のベルリンの壁崩壊は、世界に衝撃を与えた。その半年後、変革の現場が見たくて、旧東ドイツから東ヨーロッパの国々を、車で回った。

壁がなくなった後の旧東ベルリンは、西から人や車がどっと流れ込み、街の空気は一変していた。一方、地方にはかつての街の匂いが、今も色濃く残っていた。もう秘密警察のシュタージにビクビクすることもなく写真が撮れる。

エアフルトという街を訪れた時だ。同世代の青年と街中で親しくなり、「今夜はうちに泊まっていけ」という。初対面の人間に、こんなことを言うことに驚いたが、好奇心もありついて行った。家には小さな少年と奥さんがいて、温かい歓待を受けた。夜は「部屋が少ないから」と、少年と同じ部屋で眠り、朝は「ゆっくりしていけ」と言い残し、彼は仕事に出て行った。

旧東ヨーロッパでは、このような親切を方々で受けた。競争力で西に負け、社会主義国は消えていったが、競争社会では少なくなった、温かい助け合いの心があったことも、書いておきたかった。(公明新聞12月17日付掲載)


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# by saito-r | 2017-12-19 17:06



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