世界の路地裏27 韓国・慶州
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1987年の韓国は騒然としていた。民主化を求める、学生を中心としたデモが、全国で繰り広げられ、軍事政権に事実上の終止符が打たれた。
訪れた11月のソウルでは、民主的な選挙による初めての大統領選挙を前に、各候補が熱い戦いを繰り広げていた。演説に集まる群衆の熱気と数の多さに、韓国が大きく変わろうとしていることを実感した。

そんな熱さにいささかくたびれた旅人は、韓国の京都と言われる慶州を目指した。かつての新羅王朝の首都は、古墳も多く、ゆったりとした時間が流れていた。盆地の京都との違いは、大陸的でおおらかな風景であること。
ソウルオリンピック前の韓国は、まだどこかのんびりとしていて、メンコや凧揚げをする子供や、川で洗濯をする女性たちの姿が胸にしみた。

旅行中、最も印象に残ったのは、若い男性がみんな険しくも精悍な顔をしていたこと。この15年後に再訪した韓国は、高層マンションが立ち並び、若い男性はシュガーフェイスになり、違う国に様変わりしていた。(公明新聞4月15日付掲載)


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# by saito-r | 2018-04-20 17:50
追悼 高畑勲監督
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2008年撮影

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# by saito-r | 2018-04-07 18:59
世界の路地裏 26 モンゴル・ムングンモリト村
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日本人は北方、南方からやって来た様々な民族が融合して、形作られたと言われている。中でも縄文人のDNA配列に一番近いとされているのが、シベリアやモンゴルに住むブリヤート人だ。
彼らの村は、首都ウランバートルから東へ、車で5時間の所。ロシア製のごついジープで出発した。道路は途中でなくなり、あとは道なき草原を、大波に揺られる小舟のように走り続けた。

途中ハルハ族のゲルに立ち寄り、濃厚なミルクティーをご馳走になった。ゲルの中は、煮炊きにも使えるストーブが中央にあり、ベッドと衣装ケースらしきものがあるだけの、シンプルな空間。懐かしさがこみ上げてきたのは気のせいか。

車の揺れで意識は朦朧、ようやくブリヤート人の住むムングンモリト村に到着した。ここはゲルではない木造の小さな家が数件あり、親戚のおじさんやおばさんみたいな方々が出迎えてくれた。
夕日に照らされた草原では、馬上の少年が、見事な手綱さばきで駆け回っている。不思議なデジャッヴ感に包まれながら、しばし陶然と見入った。(公明新聞4月1日付掲載)

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# by saito-r | 2018-04-03 17:09
世界の路地裏 25 アイルランド・ドニゴール州
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先史時代の巨石文明の足跡が見たくて、スコットランド、アイルランドを旅した。何でもない普通の牧草地に、何らかの目的で、人為的に作られた巨石がそびえ立つ姿には、心がざわめく感動があった。

その後ご縁があり、アイルランドには何度も足を運ぶことになった。国土のほとんどが牧草地といってもいいような緑の島だ。高緯度の割には、偏西風の影響で気温が下がらない。しかし西海岸は全く違った表情を見せる。ここは人を拒むような荒々しい海岸が広がり、草も生えない泥炭地も多い。

島の北部ドニゴール州で、男が一人黙々とピート(泥炭)を掘っていた。これは太古からの植物の堆積物で、乾燥させると燃料として使うこともできる。ウイスキーの製造過程では、麦芽の乾燥時に使い、あの独特のスモーキーフレーバーを生む重要な役割を果たしている。
「写真撮ってもいい?」と聞いたら、アゴを上げ、いいよの合図。男は無駄口もきかず、手を休めることもなく黙々と作業を続けた。ジョン・フォード監督の世界そのものだ。(公明新聞3月18日付掲載)

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# by saito-r | 2018-03-20 17:06
世界の路地裏 24 キルギス・チョルポンアタ
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「現地で言葉はどうしているのですか」とよく聞かれる。私の行くところは、英語など通じないところがほとんどだ。かといって、土地の言葉をマスターするほどの能力も時間もない。
取材でしっかりとしたデータが欲しい時は通訳を雇う。写真だけ撮ればいいのなら、わからぬまま現地に飛び込んでしまう。大切なのは、警戒心を持たれぬよう心を裸にすることだ。言葉が通じないことで、より近くなれるということもある。言葉がコミュニケーションの全てでなないということも知った。

ここキルギスもそんな言葉の通じない国の一つ。中国の西に位置する、旧ソビエト連邦から1991年に独立した、まだ若い国だ。
この国で驚いたのは、人々が日本人にそっくりなこと。それも私の子供の頃に見た日本人の顔だ。中国や韓国に行ってもこんな感覚になることはない。まるでタイムマシンで昔に戻ったような、不思議な感覚になった。

チョルポンアタの街で会った薪運びを手伝う少年は、子供の頃の遊び仲間にそっくり。その顔は「どんなもんだい」と誇らしげに輝いていた。(公明新聞3月4日付掲載)





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# by saito-r | 2018-03-06 17:09



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