モルドバ共和国は、東をウクライナ。西をルーマニアに挟まれた九州ほどの大きさの小国だ。古来より東西からの侵略を繰り返され、1991年に旧ソ連から独立した。そんな歴史の背景もあり、キシニョフは様々な人種と文化の融合が感じられる街だ。
ここは知る人ぞ知るモルドバワインの国だ。家の庭にもブドウの木が植えてあり、その蔓が街路樹まで伸びて、歩道に心地よい木陰を作っている。
ワインショップがあったので入った。この店は外貨獲得の高級ワインではなく、地元消費用の安いワインがずらりと並んでいた。店の薄暗い半地下には、立ち飲みコーナーがあって、午前10時だというのに、4〜5人の客がワインを飲みながら談笑している。コーヒーを1杯という感覚なのだろうか。
私も一杯。輸出用と違い自家消費用は、やや甘めで、微かな酸味がそれを洗い流してくれて、飲み飽きしない。これは危ない。
よい水の湧く土地と、美味しいお酒のできる土地には、神の祝福を受けたような、明るく穏やかな空気が流れている。