中南米のメルカド(市場)は楽しい。商品の多様さに加え、様々な人種の発散するエネルギーが、場内に独特の熱気を生み出している。また食堂が安くて例外なくおいしい。
生きたイグアナがどっさり積まれている店があった。「これを食べるのか」と聞いたら「そうよ。スープにしたらおいしいの」という。きっと場内の食堂で食べられる店があるはずだが、積極的に探す気にはならなかった。
南米パラグアイのアスンシオンではアルマジロのスープを食べている男たちがいた。そばにあの甲羅のような外皮が積み上げられていたのですぐ分かった。「食べていけ」と声をかけられたが、肉はすでになくなっていた。「こんなうまいものを食いそびれて残念だったな」と言われたが、少しほっとした。
脱線するが、中国の東北地方では、「体が温まる」と、ごく普通に犬肉を食べるし、貴州省ではヘビの輪切りの素揚げを食べたことがある。さっぱりしておいしかったが、その晩乗った夜行列車の中で、腹痛とトイレ通いに苦しんだのはヘビの祟りに違いない。