
ポンコツ車で、3ヶ月のスペイン一周の旅から無事バルセロナに帰ってきた。運がよかったとしか言いようがない。この車、安いのには訳があることが、後で分かった。100キロ以上のスピードでしばらく走るとエンストを起こすのだ。一旦止まるとしばらく動けなくなってしまう。
スペインの国道はみんな猛スピードで走っている。80キロはノロノロ運転なのだ。この速度をキープするのは、かなりのストレスになったが、仕方がなかった。
この旅の収穫は、写真もさることながら、スペインの人々の人生に対する考えに触れたことだ。それまでの私は「人生は苦労してナンボ」だと思っていた。しかし彼らは「楽しんでこそ人生」という流儀を貫いていた。
当時はバブル期で、お金を使わないと楽しめないと思っていた私には、お金をかけなくても、友人たちと楽しい時間を作り出すスペインの同世代の生き方に、強く共鳴した。
質素な生活と、人生を楽しむことに何ら矛盾はないということを彼らが教えてくれた。