
スペイン語が多少分かってきたので、次は撮影旅行の準備だ。まずは足を確保しなければ。撮影での移動に、自動車は不可欠だ。車内に寝泊まりすれば、宿代も浮く。幸い中古車も日本に比べると随分安かった。
タブロイド紙の「売ります」欄をチェックし、めぼしい物件があれば、電話をかけ、個人のお宅まで現物を見に行く。何度か繰り返すうち、スペイン製の大衆車に行き着いた。10万円という値段が魅力だった。
お金を払い、キーを受け取ると、そのまま乗って帰る。こんな簡単でいいのか。それより肝心なことを忘れていた。実はその当時、免許取得以来、ほとんど運転経験がなかった。しかも左ハンドル!
スペインは、イタリア、フランスと並ぶ、運転のワイルドさでは欧州トップスリーだ(私見ですよ)道路に出た途端、ノロノロ運転の私の車は、後続車に煽られたり、追い越しをかけられたり、生きた心地もしなかった。
自宅前に着いた時は、冷や汗びっしょりの放心状態。生きて日本に帰れないかもしれないと心底思った。