
1993年、ソビエト連邦から2年前に独立したウクライナを訪れた。突然の社会変革は、様々な所に機能不全を招き、人々もそれに立ち向かう勇気をなくしているように見えた。一方のロシアが、明るく未来に向かうエネルギーを発していただけに、その明暗に衝撃を受けた。
重たい気持ちを抱え、列車の乗り継ぎで降りた古都チェルニウツィは、そんな気持ちを晴らしてくれる気持ちのよい街だった。ここはウクライナの西に位置し、ルーマニアのすぐ隣だ。歴史を振り返っても、いろいろな国が統治していたので、様々な建築様式の建物を見ることができる。
街歩きに疲れた時は公園に行く。公園といっても、ここはとてつもなく広く、まるで森のようだ。折しも木々の葉は黄金色で、森を明るく染めている。少女たちが落ち葉を拾い髪飾りを作っていた。
あれから24年。この子たちも素敵なレディーになっていることだろう。そしてウクライナは今も政治の波に翻弄され続けている。(公明新聞11月5日付掲載)