 車でスペインからポルトガルに入ったら、空気が変わった。独特の哀愁があって、日本に近いものを感じた。これがサウダーデというやつか。 気になる村を見つけたら、迷わず入っていく。村の中央広場で車を降りるとその周辺のにいた十数名の村人が、全員私を凝視する。スペインの村なら「オーラ」(こんにちは)といえば、向こうも手を上げてくれるところだが、ここはそんな雰囲気でもない。かと言って拒絶されているわけでもなさそうだ。遠慮がちにノロノロ動き出すと、みんなの視線が私を追ってくる。この好奇の視線に耐えられず、村を後にしたことも度々あった。私もまだナイーブな若者だったのだ。
ナザレはちょうどポルトガルの中央部に位置する漁師町。昼下がり、白い砂浜には、ゆったりとした足取りで荷を運ぶ女性や、漁師の男たちが網を繕ったり、横になってぼんやりと海を見ていたり、いい時間が流れていた。私も旅の緊張を解きほぐし、鰯の塩焼きにかぶりついた。オリーブオイル料理に疲れたお腹に染みわたった。(公明新聞10月29日付掲載)
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Column & Information
by saito-r
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