幼稚園の頃、入院したことがあった。仕事で忙しい両親に代わり、山形県の祖母が付き添いのため、わざわざ札幌に来てくれた。明治生まれの祖母の方言は、ほとんど外国語のよう。病室の他の家族に話しかけても、通じないことがよくあった。いつのまにか庄内弁を習得した私は、通訳を買って出て、みんなが喜ぶ顔を得意になって眺めていたものだ。 両親が東北人のせいか、北海道生まれの私も、東北地方に来ると、なぜかホットするような不思議な安堵感に包まれる。東北には藁などで作られた、人形道祖神が今も数多く残っていて、中でも秋田県は群を抜いて多い。 土地によって「鹿島様」「ショウキ様」「仁王様」などと呼ばれ、3メートルを超えるものもある。集落の境に置かれ、悪霊や疫病の侵入を防ぐと信じられ、毎年作り直されるそうだ。写真は横手市大森町の人形道祖神。どこかユーモラスで、悪霊も笑ってしましそう。いつまでも残って欲しい習俗だ。一方、地方の美しい言葉が、だんだん標準語に溶け込んで来るのは、ちょっと寂しい。(公明新聞9月17日付掲載)
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by saito-r
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