「嗜み」もいよいよ最終号となってしましました。
最終号の巻頭は作家の浅田次郎さんの「煙草論」たばこを吸わない私も「そんなにうまいのか」と身を乗り出してしまうさすがの名調子。以前この雑誌の取材で九州にご一緒したとき、移動の車中は浅田さんの独演会状態。次々と繰り出されるお話のおもいしろさに、スタッフ一同笑い転げました。
もう一人忘れられないのが、亡くなる少し前に沖縄にご一緒した作家の立松和平さん。地元の昔の友人に無性に会いたがっておられたのは、命の残り時間を感じていたのでしょうか。夜の宴会で立松さんの友人が、波照間島の幻の名酒「泡波」の四合瓶を2本差し入れしてくれました。「泡波」は泡盛らしいクセがなくイタリアのグラッパみたいな上品なお酒。生産量が少なくほとんど手に入らない逸品です。「一本みんなで開けてください」立松さんの嬉しい言葉にみんな(私か)大喜び。でもあっという間にカラになり、みんな寂しそうな顔をしていたのでしょうか「しょうがないなあ。じゃあこれも開けてください。一本は持って帰ってゆっくり飲みたかったのになあ」
立松さんごめんなさい。