何度かお仕事をご一緒させていただいた映像ディレクターの坂口康さんがノンフィクションを上梓されました。
あまりにもすばらしい一冊だったので、一人でも多くの方に読んでいただきたいと思いご紹介させていただきます。
事の発端は坂口さんがニューヨークの画廊で偶然出会った一枚の絵。この絵が何と敗戦間際の坂口さんの疎開先の千葉県の小さな町へと読者を誘って行きます。この小さな町で繰り広げられるささやかな日常、そして人々の魂の何と美しいことか。そしてまた現代へと話はつながっていくのですが、そこには信じられないような展開が!
あまり書いてしまうとさしさわりがあるのでこのへんにしておきます。
坂口さんの文章はお仕事柄かきわめて映像的で、最良の映画を見終わったような読後感に包まれました。私が映画監督ならぜひとも映像化してみたい一本!
日々日常はせつないこともたくさんありますが、それでもこの世は生きるに値するとこの本は教えてくれます。