以前にもお知らせした新しい写真集の制作が進んでいます。
「SLがいたふるさとー北海道1973~1980」というタイトルに決まりました。
私が大学時代に撮った写真を中心に、古いものは中学生のときの写真も出てきます。
撮った時にはあまりにも日常的な写真だったので、そのままネガケースにしまったままだったのですが、30年以上も過ぎると日常だった光景も、もはやどこにも存在しない貴重な記録になるのだと、この写真を通して教わりました。
20歳の齋藤クンを54歳の私がプロデュースするという不思議な構図です。
今回特筆したいことは、この本の印刷技術に関してです。
通常印刷物はどこまでオリジナルに近づけられるかを基準に作業が進められますが、今回の出版元の冬青社はまったく考え方が違います。高橋社長は「オリジナルを超える印刷」を目指している方で、以前からどうしてオリジナルのプリントより本のほうがきれいなのか、ずっと謎でした。(印刷の常識では考えられないことなのです)
その秘密の一端が今回分かりました。
高橋さんは私がネガをスキャンして時間をかけてパソコンで画像処理したプリントを見て、「今回はネガのスキャンからやりましょう」というのです。私にとっては印刷屋さんの最高品質のドラムスキャナーを使っていただけるのは願ってもないことなのですが、問題はその後の100枚にものぼる画像処理をいったい誰がやるのかということです。つまりスキャンしたままの画像はそのままでは印刷原稿として使えないのです。(ちなみに私はこの作業に一ヶ月近くを費やしました)
そんな私の心配をよそに「大丈夫です」とにこやかに答える高橋さん。
かりにそれをやってくれるところがあっても、天文学的経費が請求されるのではないですかと問う私にやはり「心配ありません」。
これらの心配を一手に引き受けてくれたのが凸版印刷の杉山さんという方でした。
杉山さんは高橋さんのどんな過酷な注文にも応えてくれる、すご腕のプロフェッショナル。このコンビはどんな困難も乗り越え、印刷技術を高めてきた理想のパートナーです。
私の心配は杞憂に終わりそうです。
初校であがってきた印刷はそれはみごとなものでした。
とにかくいいものを作ろうという今回のみなさんの職人気質に感動です。
ブックデザインは「フンザへ」「Lost China」の高崎勝也さん。
最高の布陣に恵まれ、20歳の齋藤クンは幸せものです。
この写真集は来月には印刷が始まり、10月にはみなさまにお届けできると思います。
写真とともに「世界最高」の印刷を目指すプロの技をお楽しみいただければと思います。
高橋さんの熱い思いはぜひこちらを!
http://tosei-sha.jugem.jp/?eid=1231