写真家の市原基さんが主催する例会「サーカス」第128回で、画家の土屋禮一さんがお話をされるというので出かけました。
市原さんは取材などでいろいろな方に会って、自分だけよいお話を聞くのはもったいないと、30年近くも前から旬のゲストを招いて、講演会を開くという活動をされています。
今回のテーマは「墨の話・龍の話」
端正な油煙墨と癖がおもしろい松煙墨。墨はゆっくりするほど粒子が細かく乗りがよくなる。これ以上濃くならないというほどすったあと、たっぷりの水で薄めると、薄くても深みのある色がでる。軟水は黒の滲みがなめらか。宿墨は発色は悪いが個性もある。
画家の故丸木位里さんのアトリエに土屋さんがおじゃましたとき、アトリエに置いてあった絵の墨の発色が不思議だったので、「どうしたのですか」と尋ねたら、「アトリエが寒くて墨が乾かないうちに凍ってしまった。そうしたらこんな発色になりました」と答えられたとか。
一流の芸術家は一流の職人でもあるということをあらためて再認識しました。
最後に私が好きな土屋さんの言葉「命のいい状態を絵に置き換えられることが絵を描くもののしあわせ」「明日のために今日をがまんするな」「人生は予定どおり」