聞き書きの名手、塩野米松さんの「手業に学べ」が2冊、筑摩書房より文庫化されました。文庫化といっても、再編集され、内容はさらに充実したものになっています。
この現場には十数年前にお供をさせていただきました。時代の変化とともに消えつつある手仕事を生業とする方々の、知恵と含蓄に富んだお話の数々です。当時は私も若く、現場では撮影のことで頭がいっぱいでしたが、今あらためて読んでみると、そのお話の深さやおもしろさにグイグイ引き込まれます。
人間はおろかなこともずいぶんするけれど、こういった方々のお話を聞くと、人間も捨てたものではないなあとしみじみと感じる、今こそみなさんに読んでいただきたい一冊です。
藁細工職人 工藤佐吉さん 秋田
シノダケ細工 夏林チヤさん 岩手
竹細工師 廣島一夫さん 宮崎
茅葺き屋根に使う葦を刈る 北上川