世界の路地裏 28 ニカラグア・グラナダ
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中米ニカラグアは、国民の約70%が先住民と白人の混血のメスティーソ。ここに、かつてアフリカから労働力として移住した黒人の血も混ざり、味わい深い美しい顔立ちの方が多い。道端で声をかけ写真を撮らせてもらうことが何度もあった。

路線バスで、首都マナグアから1時間ほどのグラナダへ向かった。スペインの植民地時代に物流の拠点として栄えた街だ。
バスは頻繁に停車し、そのたびに多くの人が乗り降りし、物売りも入って来ては降りていく。窓から吹き込む熱風に吹かれ、車中の混沌に身を委ねた。

グラナダは植民地時代の、カラフルな平屋の建物が並ぶ、絵本に出てくるような街並み。町歩きを堪能し、またマナグア行きの路線バスに乗り込み、後部座席に陣取った。車中には頭をもたれあって眠る中年の夫婦。通路越しに手を握り合う、学校帰りの高校生。珍しい東洋人を見て、弾けた笑顔を見せる子供達。どの人たちの後ろ姿にも、愛が溢れていた。ガタピシ揺れるオンボロバスには「オンリーユー」が大音量で流れていた。(公明新聞4月29日付掲載)

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# by saito-r | 2018-05-02 17:44
世界の路地裏27 韓国・慶州
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1987年の韓国は騒然としていた。民主化を求める、学生を中心としたデモが、全国で繰り広げられ、軍事政権に事実上の終止符が打たれた。
訪れた11月のソウルでは、民主的な選挙による初めての大統領選挙を前に、各候補が熱い戦いを繰り広げていた。演説に集まる群衆の熱気と数の多さに、韓国が大きく変わろうとしていることを実感した。

そんな熱さにいささかくたびれた旅人は、韓国の京都と言われる慶州を目指した。かつての新羅王朝の首都は、古墳も多く、ゆったりとした時間が流れていた。盆地の京都との違いは、大陸的でおおらかな風景であること。
ソウルオリンピック前の韓国は、まだどこかのんびりとしていて、メンコや凧揚げをする子供や、川で洗濯をする女性たちの姿が胸にしみた。

旅行中、最も印象に残ったのは、若い男性がみんな険しくも精悍な顔をしていたこと。この15年後に再訪した韓国は、高層マンションが立ち並び、若い男性はシュガーフェイスになり、違う国に様変わりしていた。(公明新聞4月15日付掲載)


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# by saito-r | 2018-04-20 17:50
追悼 高畑勲監督
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2008年撮影

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# by saito-r | 2018-04-07 18:59
世界の路地裏 26 モンゴル・ムングンモリト村
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日本人は北方、南方からやって来た様々な民族が融合して、形作られたと言われている。中でも縄文人のDNA配列に一番近いとされているのが、シベリアやモンゴルに住むブリヤート人だ。
彼らの村は、首都ウランバートルから東へ、車で5時間の所。ロシア製のごついジープで出発した。道路は途中でなくなり、あとは道なき草原を、大波に揺られる小舟のように走り続けた。

途中ハルハ族のゲルに立ち寄り、濃厚なミルクティーをご馳走になった。ゲルの中は、煮炊きにも使えるストーブが中央にあり、ベッドと衣装ケースらしきものがあるだけの、シンプルな空間。懐かしさがこみ上げてきたのは気のせいか。

車の揺れで意識は朦朧、ようやくブリヤート人の住むムングンモリト村に到着した。ここはゲルではない木造の小さな家が数件あり、親戚のおじさんやおばさんみたいな方々が出迎えてくれた。
夕日に照らされた草原では、馬上の少年が、見事な手綱さばきで駆け回っている。不思議なデジャッヴ感に包まれながら、しばし陶然と見入った。(公明新聞4月1日付掲載)

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# by saito-r | 2018-04-03 17:09
世界の路地裏 25 アイルランド・ドニゴール州
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先史時代の巨石文明の足跡が見たくて、スコットランド、アイルランドを旅した。何でもない普通の牧草地に、何らかの目的で、人為的に作られた巨石がそびえ立つ姿には、心がざわめく感動があった。

その後ご縁があり、アイルランドには何度も足を運ぶことになった。国土のほとんどが牧草地といってもいいような緑の島だ。高緯度の割には、偏西風の影響で気温が下がらない。しかし西海岸は全く違った表情を見せる。ここは人を拒むような荒々しい海岸が広がり、草も生えない泥炭地も多い。

島の北部ドニゴール州で、男が一人黙々とピート(泥炭)を掘っていた。これは太古からの植物の堆積物で、乾燥させると燃料として使うこともできる。ウイスキーの製造過程では、麦芽の乾燥時に使い、あの独特のスモーキーフレーバーを生む重要な役割を果たしている。
「写真撮ってもいい?」と聞いたら、アゴを上げ、いいよの合図。男は無駄口もきかず、手を休めることもなく黙々と作業を続けた。ジョン・フォード監督の世界そのものだ。(公明新聞3月18日付掲載)

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# by saito-r | 2018-03-20 17:06



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